12月に入って幾日経た日の午後の地域一ノ宮の境内、そこは生い茂る鎮守の森の木々と暇を持て余す鳩の姿のうちに静かにたたずんでいた。 古の時代に奉納された大きな石の鳥居をくぐって、ちいさな影が境内に入る。端にフリルの付いた赤い水玉のズボン、その下に赤い靴を履いて、熱を封する横縞のパーカーを羽織って、幼女、そのままに参道をトテトテと歩いてゆく。 生まれてまだ大した年月が経っていないのであろう、あまりにちいさなその姿態は、有り余る広さの神社の境内に、寒空のもとに静かな熱を。師走はまたしだいに年の瀬の寂しさに覆われてゆく。邪もなきちいさな来訪者の参詣に、祀られしみこともほほえみたろう。
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