福岡県のほど中央部に位置する内陸の町「宇美」(うみ)。その中心部にあたる場所は、町を東西に流れる「宇美川」と「井野川」なる二つの川に挟まれたところで、地域一ノ宮として鎮座する「宇美八幡宮」を中心に据える街として在る。 「光雲寺」(こううんじ)―この寺の所在地は、町の中心のさらなる中心といえる宇美八幡宮のまさに真ん前。“護龍山”(ごりゅうざん)と号する浄土真宗本願寺派の寺で、宇美八幡宮の宮口に接して通る車道「県道68号」すなわち「福岡県道68号福岡太宰府線」の傍にあって、東に向けてその門を開き、その車道を挟んで、宇美八幡宮の境内やや左寄りの部分と向かい合いに座している。 伽藍 伽藍を成するは、本堂、鐘楼とその内の梵鐘、本堂左の庫裡、そして本堂右に多宝塔の突起を掲げる屋根を持つ“清萌堂”なる建物。わずかな区画といえるその境内は、往来する車の音を傍に、壮麗なる様相を見せる宮の脇にありながら、確かなる仏の空間を形作る。古書に見られる光雲寺 江戸期の儒学・本草学者貝原益軒の編纂による名のある史書『筑前国続風土記』、その「拾遺」の“宇美村”の項に、この光雲寺についての記録が次のように遺されている。“本村〔馬場〕に在。真宗西福岡徳榮寺の末也。開基の僧を教峯と言。〔寺号元来志摩郡田尻村より移すと云。〕寺内に観音堂あり。”...斯様。同じく浄土真宗本願寺派の信行寺とともに、宇美八幡宮の宮脇寺としてそこに在る。 所在は福岡県糟屋郡宇美町宇美2丁目2番22号。最寄の鉄道駅はJR香椎線宇美駅、最寄のバス停留所は、境内の塀の向こうに西鉄バス『宇美八幡宮前』。近場に宇美町立宇美小学校、宇美町立老人福祉センター、北の宇美川の流れの向こうに法華宗妙法寺などがある。 |