夕刻に近づく午後の市街は道ゆく数多の人々の影にいつものそれとはひときわ違った色を映してたたずんでいた。 傍を彩る異国の樹木を飾り彩る光の粒。鳴り止むことなき唱歌に協奏してゆく異国の鐘の音色。街路を埋め尽くしてなお余りあるほどの歩む人々の影は時折、一部を重ねて、また寄り添って、しばし歩みを路傍に止めて、やがて街をまた流れてゆく。 クリスマス― Christmas ―世にそう呼ばれるこの冬の日に沸き立つ街のその片隅に、そのスカートの切れ端を街風に静かになびかせてゆくふたりのセーラー服の少女は、普段の色をまといながらも普段でなき日のうちの街路に、どこか微かの異色を湛えてほのかな香りを振りまいてゆく。 素の白肌をあらわにする脚のその元をつつむ純白のソックス。上に鞄を片手に抱えるその姿態は、清楚―あるいはそのような言葉を、日常でなき色を微かに帯びるこの日にほのかな異色を湛えたふたりの刹那のほほ笑み合いは、百合―あるいはそのような言葉を、そこにほのかに想起させる。 凛。街はまた歩む者たちを受け入れてゆく。白雪舞い散る季節の街路に、花のきざしまた遠からじ。
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