新年に沸き立つ宮の境内の大楠のもとに遊ぶ少女

2007年1月2日
 元旦を迎えて年の明けた日、いわゆる正月三が日。地域一ノ宮、というよりもはや、全国にわたって信仰を集めるある種の神の総本宮たるその宮は、例年過年にたがうことなく、その数夥しき詣での人々の姿をこの日の境内に湛えていた。

 参道を経て楼門(ろうもん)と呼ばれる大きな門を通り過ぎて、祭神『天神』を祀る神殿を背後に据え擁する拝殿。そこに手合わせ参る人、神籤(みくじ)を引く人、座る人。名物の餅をほお張る人に、祈願の絵馬を掛ける人。...そこに今明けた新たな年への想いをその胸の内に宿し秘めつつ、それぞれがそこに奉じ願ずる十色の初詣、百景。

 うちの一景。少女は、境内の奥にそびえ立つ大楠(おおぐす)の大樹の下で、檜(ひのき)造りの殿とその前を飾る小さな庭を背後に、しばしの暇を持て余していた。白と桃の色縞模様のタイツに包まれた脚が跳ねるそのたびに、その髪もまたさらりと跳ねて、そこに少女のやわらかな香りを漂わせてゆく。

 おそろいの髪留めを付けた少女も、時に跳ねて、時に座って、庭園を前に見据えながらに、そのか細い背中をそこに佇ませた。ひととき。

 しばらく流れる正月のゆとりのうちに、漂う淡やかな空気。賀正。福ある年の兆しを探して、その幕開けを明日に想って、詣での人はまた参道を静かに通り過ぎてゆく。


少女|神社|福岡県|紀行道中写真館

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