名物の餅(もち)を扱う茶店(ちゃみせ)に、土産(みやげ)の品を扱う店々・・・数多の参詣の者の歩みのうちに賑わう表参道(おもてさんどう)の脇には、それら様々の店の数々が延々途絶えず軒を連ねる。 幼女はみやげのならぶ店の前。それまで見ていた品を片手に、突然、その場で股を開いて、両手をかざして静かに立った。 梅の花散る天満の宮は近づく季節の陽気のなかで、途絶えることなき賑わいのうちに正午を終えまた午後に過ぎゆく。数多の幼い影のあしどりといっしょに、この日の終わりに向かって、境内の刻は夕凪の時に向かって静かに過ぎてゆく。
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