地域の公民館に似た役割を兼ねる『コミュニティセンター』と呼ばれる施設の、その裏手にある小さな公園では、春訪れし日和のこの日、施設の内部で開催中の『コミックショー』なるイベントとともに、ささやかな規模の動物の園が青空のもとに開かれていた。 馬、羊、猿、鳥、犬にイグアナに毒蜘蛛まで・・・色々な生き物達がひしめくなかで、縞々(しましま)上着にスカートの幼女、端っこの柵にその歩を進めて、そこに地を這う亀を見る。 東南アジアから来たクサガメ、アフリカから来たケヅメリクガメ。幼きお客に這って寄る。 今きたばかりの春のひととき、始まり間もない春休み。 幼い瞳はそこでしばらく、静かに這いずる姿を追った。
|