住宅の町の一角にある、地域のいわゆる公民館と似た役割を兼ねる小さな施設、コミュニティセンター。 桜の花の満ちゆく季節のこの日の午後のその内部では、コミックショー、との銘の打たれたささやかな劇を目玉に据える、この日限りのささやかな規模のイベントが催されていた。 施設の裏手の小さな公園は、この日のイベントのもうひとつの目玉の場であった―幾種かの生きた動物達が織り成す、青空のもとに形作られた臨時の特設動物園。馬、鳥、羊、猿から、豚、カエル、果ては蜘蛛まで。どこかの牧場からやってきたそんな生き物達と、それを見る人戯れる人。 まだきたばかりの春休み。響き渡って一角を包む数多の明るい声のなかで、ふたり幼女はそこにふたりで、柵のなかにいる子犬の姿を眺めて、遊んで、時にそれぞれ想って、また会い笑うのだった。 |