の人形である。 股に刺さる木の棒で支えられたこの人形は、明らかに幼い少女を、すなわち幼女を、それも園児服を思わせる布着をその身にまとった、すなわち女園児を模したものである。 というだけならば別によいのであろうが、注目すべきは、ここが『幼稚園』の敷地内だということである。 つまり、一日のうちのいずれかのひとときには、近くに置かれた遊具に集まる園児たちのその幼い嬌声で、この人形の周囲が賑わうということである。 そして、その際少なからずの園児が、特に女園児がこの人形に気づき、この人形たる幼女の置かれた様を見やり、また見やってきたのであろう、ということである。 この人形の設置者は、一体いかなる思いを胸に、この意匠を思いつき、そしてこれをここに設置したのであろうか。そして、いわばおしおきともいえる様にあるこのお友達を見て、園児は、特に女園児は、いかなる想いを胸に遊ぶのであろうか。 それは彼または彼女の知るのみである。
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