二日にわたって街を賑わせる大きな大きな祭(まつり)のさなかに、道路の真中を練り歩いてゆく舞踊やマーチングの行列。立って、座って、時に動いて、その模様を脇から眺める人々。 その瞳は反対のほうを見つめていた。幼児(おさなご)仕立てのちいさなお服に編み物帽子をかぶって幼女は、大きな腕に抱かれて肩に身を寄せてただよわしげにまなざしを振りむけ、好奇の想いのこころを膨らますように瞳を静めた。 五月(さつき)の昼時、賑わう市街は夏日のような陽気に包まれ、ゆく人々の沸き立つ熱気と相まり奏でられる陽気。立夏の街路を吹き抜けて消える麗らかな風に撫でられながら、幼い髪また静かに揺られて、照らす日ざしを受けとめた。 |