皐月の祭に沸き返る町の神社で清涼飲料の缶を片の手に化粧仕立ての少女

2007年5月4日
 名のある盛大な祭(まつり)のうちに沸き返る町は、五月のはじめの夏迫りくる感の陽気とともに、歩み立ち見て囃子(はやし)のさなかにその身を委ねる多くの人々の熱気をたたえて、賑わいのときを迎えていた。

 町の鎮守(ちんじゅ)の社(やしろ)の境内、拝みの台(うてな)のましますところ。

 近く市街のさなかの大きな公園は、ステージ―舞台―に様変わりしていた。各々の出し物を持ち控えてやってきて、見物の人の波を前に披露しては帰ってゆく者たち。少女はそのうちのひとりであった。

 人波のなかの舞台で踊って、次にやってきたこの宮の境内でまた踊って、一休みの時。汗染みる化粧しつらえの肌、片手に握る缶を紅の唇に接ぎつけて、また離して、踊り子の衣装に包むその身をしばしの間、落ち着けた。

 吹き抜けては返してゆく皐月(さつき)の風に撫でられ、過ぎゆく午後。むせ返るような熱気に包まれながらに、町は大いなる盛りの賑わいの波に呑まれていった。


少女||神社|福岡県|紀行道中写真館

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