記念の行事で賑わう皐月の駐屯地の大通りにひとり立ち手の写真機を弄くる幼女

2007年5月20日
 普段は静かなそこ陸上自衛隊(りくじょうじえいたい)の駐屯地(ちゅうとんち)は、この五月の終わりの頃の休みの日にあって、いつもには無い数多の普段の人々の歩みの影を湛えていた。

 町に響き渡る炸裂音。空を飛び交う軍用飛行機。この日の基地に開かれていたのは、この基地の興りから幾周年の時を記念する式典であった。

 幼女はそのところのさなか、見物の人の数多の影がゆき交う大通りに立った。幼児(おさなご)に特有の丸みを帯びたその指の触るは小さな写真機(しゃしんき)―デジタルカメラであった。

 幼児太りか、ちいさきながらも微妙に太めの姿態はそこに、しばらくのときをたたずんだのだった。

 花見月(はなみづき)も過ぎ、皐月(さつき)も過ぎようとする季節の日曜日。身体に夏のはじめを感じさせもする昼の時刻の風が、あたりを吹き抜け、髪を揺らして、たたずむ身をまた撫でていった。


幼女|福岡県|紀行道中写真館

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