ガタン。・・・帰途の電車に乗り込む人、その傍を通り過ぎてゆく人、買い物袋を小脇に抱えて日の終わり時に備える人、傍に新たな用事に向かう人。人々の織り成す雑踏のうちににぎやかな夕暮れに近づく街の駅頭を、ひと風、またひと風を送って、列車の影が通り過ぎる。降りてしばしの遮断機を前に、姉妹然としたふたりの少女は寄り添い、しばらくの時を待った。年の暮れゆく季節の街は、暮れゆく年の過ぎし日の残照とまた訪れる年の予兆を湛えて、夕闇に沈む雑踏のなかに消えてゆく少女の影を湛えて、また今日の日の暮れを告げるのだった。
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