九州、福岡(ふくおか)、大野城市(おおのじょう-)の、市域の南方の山麓地。古くからこの地にあった牛頸村(うしくび-)の流れを汲む牛頸という地区の一角の、神社の鎮守の森を思わせる雑木林のもとにある区画に、小さな堂がある。 この地を北へと流れる二級河川のひとつ御笠川水系牛頸川の一角の東岸、かつて『牛頸小学校』が存在していた桜公園のほど近く。 薬師堂(やくしどう)―医薬の仏としての信仰を受ける薬師如来(やくしにょらい)を本尊とする仏堂。耕地の脇にあって、雑木に囲まれ、南を正面として建っており、その堂を囲む種々の雑木を薬師の杜(やくしのもり)というようである。堂の手前には市により案内板が設けられており、そこで次のようなことを説明している。―『畑の中に昔からある薬師堂の境内を形作っている鎮守の森で、小さいながら遠くから見ても堂々とした風格をもつ木立です。エノキとクスノキを中心として構成されており、これにタブノキ・ヤブニッケイシロダモ・クロキ・ヤブツバキなどの照葉樹林に代表的な樹木を交えています。特にエノキは、大野城市域では最大級に成長したものです。このエノキには、あまり見ることのない巨大なキヅタがとりついていて、二つがあいまって独特な雰囲気を醸し出しています。また、お堂の裏にあるクロキも市域では最大級に成長したものです』... 大野城市指定天然記念物(平成七年五月二十二日指定)。 |