山麓の市住とふたりの幼女

九州北方、福岡県域の福岡市域の東端の地。その場所は二河川に挟まれ、北の山へと続く大道の傍にある、庚申塔も残る古い集落の一角。雑木に囲まれたその場には、建て替えられて間もなき風の真新しい市営住宅が数棟。高層。一画は臨済宗大徳寺派の禅寺と接して山麓の小さな団地として在る。綺麗に整備された公園。集会場。緩やかな斜面に立地するため、上層階からの展望は遠方にいたって、平野を一望しうるまでにひらけている。セミの声轟き始めの西暦2006年6月の半ば。市営団地の敷地内に戯れる幼い少女達の声は静寂に包まれた地内にあって静かな午後の刻にこだましていた。


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