恵子如意輪観音

2006年8月6日の、セミの声多き午前の姿
 地は福岡県、福岡市の中心域を流れる川のうちに、那珂川(なか-)との名を持つ二級河川がある。背振(せふり)の山から発してやがて博多湾(はかた-)に注いでゆく川。この川の上流域に広がり在るのが、この川の名をその名の由来とする那珂川町(なかがわ-)である。

 南方の三方で背振連山と接し、東方で春日(かすが)市域と接し、北方で福岡市域と接するこの町は、筑紫(ちくし)郡を構成する唯一の町として、古い町々の面影を残してこの地に静かに存在し、また斯様なる町の西方の一画は、後野(うしろの)、道善(どうぜん)、片縄(かたなわ)、恵子(えこ)の四つの区域に大きく分けられる。このうちの恵子地区の内の一角の道端に、如意輪観音(にょいりんかんのん)を祀るとされる小さな堂が存在している。

 如意輪観音―観音菩薩の変化身とされる、仏教における菩薩(ぼさつ)のひとつである。南北に走る車道の東脇に位置するこの堂は、西鉄バス恵子停留所のわずか近場、町の管理による恵子東公園を裏手に、町立恵子集会所を近場に臨み、堂内の奥部には、

 おんはんどめい しんだまにじんばら うん

と書かれた『御真言札』、そして一体の石の坐像とその左脇に小さな金像をたたえてそこに在る。


|福岡県那珂川町|紀行道中写真館

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