福岡県(ふくおか-)大野城市(おおのじょう-)。殊に国指定史跡『水城跡』や『大野城跡』で知られるこの地の、その市域の北方東側の丘陵に大城(おおき)という街区がある。 御笠川(みかさ-)と平行してこの地を南北に貫く国道3号の東脇の一画を占める、ゆるやかな斜面上に広がる集落地で、古くは釜蓋(かまぶた)との名を持ったという。 そのような集落地に向かって国道3号から東にのびる小道のひとつ、その一角の北脇にたつのがこの碑である。古き時代のみちしるべ 道標石(どうひょうせき)と呼ばれるこの小石碑は、みちしるべと道の神とを複合させたもので、旅行の守護神、行路安全の守護神(塞の神―さいのかみ)として民間信仰されてきたものであるという。正面に『從是(これより)左うみみち右やまえ口』、左側面には『施主加満ふた衆』、右の側面に『延享元年子ノ八月吉日』の刻字があるものとされている。加満ふた(かまふた)とはすなわち『釜蓋』、この碑のたっている集落の古名である。 延享元年すなわち西暦1744年に造られたもので、本来は現在の立地から南約20m地点にあったものが、現在地に移されて今にいたり、福岡県下でも珍しい種のものであるとのことから、大変貴重なものであるとされ、平成6年(1994年)3月18日をもって大野城市指定の有形民俗文化財となっている。
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