市街のさなかに広がる大きな公園の森林の並木道を抜けて、遊具や自動販売機の並びある広場への小道を歩くそのひとりの少女は、その容貌に異国の風体を湛えた幼くもふくよかな少女であった。 土曜日。秋入りの季節の日にありながらもあたたかな風の吹く休日の公園は、休暇の時の憩を遊ぶ人々の声でにぎやかに彩られる。 長きスカート、赤ワイン色の髪留め。インド人。あるいはイスラミックな風情をはらったパキスタンやその周辺の民の面持ちとも。いずれにしても遥かインド亜大陸の民の血をひく少女、あるいは幼女であることに変わりはなき様。 大きな瞳にまとうエキゾチックな色を濃密に、あまりに平和なひとときを少女は、ただ足早にすたすたとゆくのである。
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