福岡県糟屋郡(かすやぐん)篠栗町(ささぐりまち)にある篠栗四国八十八箇所霊場のひとつである平原観音堂は、四国龍光寺より勧請された十一面観世音菩薩を本尊とする堂である。篠栗四国八十八箇所霊場第四十一番礼所。字(あざ)を山王(さんのう)とする、小道を山側に随分と入っていった場所にあり、注視しておかぬかぎり見つけることは困難であるかもしれない。本堂に加えて、大和講なる団体により寄贈されたと見られる大師像(ちなみに篠栗町にはこの大和講なる団体の九州本部が存在している)、そして傍を流れる小川の向こうに波切不動明王とされる石像がしずかにたたずんでいる。平原観音堂のちょうど入口のわずか近場には茶屋も存在している。入口の更に手前に走る山のほうへと続く道は、荒田観音堂、荒田阿弥陀堂などがある荒田地区へと通ずる路である。水音の響く静かな場所であった。
|