目前に広がる下馬ヶ浜と内海の湾たる博多湾の海原。志賀島(しかのしま)の外枠を走る一本の車道は島の動脈といえる唯一の道。道沿いに形成されて広がる浜は老若男女多くの行楽者の姿に喜声嬌声の止まぬ場である。 浜へと通ずる入口のひとつ、マリンリゾート施設たる休暇村志賀島の界隈の浜への道の付近に、原色の可愛らしい水着(みずぎ)、あるいはスクール水着風のそれをまとった、その三人の幼い少女の姿はあった。ワンピース、モノキニ、セパレーツ。少女達のうちからお姉ちゃんという人称が聞こえはするものの、正確に姉妹であるのかどうかはこの場では彼女達の知るのみだ。7月も末の晴れ渡る夏の日の昼の刻のビーチ。ビーチサンダル、二輪の浮き輪。幼い少女達の姿は夏空のもとで、保養地たる浜に彩を与える。 やがて幼女たちは脇の浮輪(うきわ)を抱え、水着姿に静かな喜声を響かせて、海水浴(かいすいよく)に興じに浜へと歩み去ってゆくのだった。 |