午前8:00。 セミの鳴声聞こえ始めた朝の駅前にゆく人も増え。時は葉月の上旬、夏休みさなかの週のなかばの水曜日。駅の踏切から出て北東にのびてゆく車道の両脇には街の広がり。そんな歩道の一角を歩む小さな影。 桃色の衣をその身にまとった幼い少女の小さな影。 それはまさしく夏の日の幼女―そんなふたりは街路を歩く。 リュックサックに袖のない薄いシャツにまぶかな帽子にスニーカー、いずれも小さなそんな品々に、ふわりと風に舞う薄いスカート。それらに包まれる日に焼けた肌。ところどころに歩みをとめながら、往来する車の音を脇にしながら、すれ違う人を脇にしながら、小さな影ふたつ少しずつ動く。夏の一日...、そのはじまりの風景の一角に、ひと際だった色を添えながら、ゆく幼女たちのとあるひと時。
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