福岡県(ふくおか-)の中部西域。博多湾に流れ込む二級河川那珂川(なか-)の源流を湛える那珂川町(なかがわ-)は、県都たる福岡市の南方の街区南区(みなみ-)と接する町である。 その数膨大なる太古の遺跡で知られるこの町の、その北部西方は山麓地。片縄山(かたなわ-)と呼ばれるその山は、その西の荒平山(あらひら-)に連なり各所で那珂川町域と福岡市域とに接し、西の麓に日吉神社などが座する谷(たに)集落、また内野(うちの)・脇山(わきやま)地区(福岡市域内)などを見下ろしている。 斯様なる片縄山の東の麓に位置して存在する街区のひとつが、那珂川町内の片縄西(かたなわにし)街区である。この街区は、町に唯一の公営住宅を擁する恵子(えこ)とされる街区から、その内を奥へ、西の山の側へと入った場所。妙親寺―その読みは『みょうしんじ』であろうか。山号を菩提山とするこの仏教寺院は、斯様なる街区の更なる奥部、大字片縄とされる区画の内にある日蓮宗(にちれんしゅう)の小寺である。高台に位置するその寺域は、ささやかといえる風体の南向きの本堂を、その脇に密着して建つ小堂を、また観音堂などを内に擁し、山麓の雑木を脇に携えて町々を見下ろすかのようにたたずんでいる。
所在は福岡県筑紫郡那珂川町大字片縄1139-27。わずか南に那珂川町立那珂川北中学校が、内に丸ノ口古墳群を擁する丸ノ口古墳公園が存在している。 |