街は大いなる賑わいに包まれていた。 皐月(さつき)のはじめに一夜をまたいで繰り広げられる名高い祭(まつり)、古来より街を彩ってきた盛大な祭、街は例年ながらにハレのその時を迎え、ついに終盤となる二日目の午後を迎えていた。 いつもは車の通り道としてある大通り。 たこ焼き、いか焼き、飴(あめ)から氷菓子(こおりがし)、玩具(おもちゃ)に金魚(きんぎょ)に得体の知れない食べ物までと・・・歩み人の脇に数え切れぬほどの露店が軒を連ねる歩道には、その大通りを練り歩いてゆく『部隊』を見ようと数多の人々がたかり人波をつくっていた。 さあ、練り歩いてゆく、舞踊(ぶよう)にマーチングの行列に、音色を振り撒く音楽隊、など、など...各々のだしを控えて各々の祭装束でその身を飾った者達が、まさに途切れることなく次から次へとやってきては、迎え待つ終点へと向かって各々の行進をつとめあげゆく。 老若男女、大なる者から幼き者まで、様々の者の織り成す大祭の舞台。 午後の刻も申(さる)の刻を迎えた頃に、その幼女たちはやってきた。
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