夏(なつ)も盛りのときを過ぎて、訪れた秋の季節のはじめ。 街を流れゆく川は、ほど近くのところで海原に注ぎ込む二級河川。そのほとりにある公園(こうえん)は、この日曜日の午後に、いつもに増して人々の賑やかな声に歓声、そして数多の幼い者たちの影を映していた。 隣にある幼稚園(ようちえん)の運動会(うんどうかい)―秋(あき)の運動会。 ときに走って、時に飛び跳ねて、時に泣いてはまた笑って、やがてみんなで喜んで・・・この舞台に遊ぶ数多の幼い者たち―園児(えんじ)たち。 そして、その姿を傍から眺める者たち―少女もそのなかのひとりだった。
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