妙教寺(みょうきょうじ)なるこの小さな寺は、福岡県の内陸に位置する大野城市の内の北部、同市と春日市、そして県都福岡市とが境界を接する「錦町」(にしき-)というところにあって、西日本鉄道の駅から発して北東のほうに向かってつづく商店街のさなか、通称「錦町商店街」のさなかの一角に伽藍を有している。この錦町は、筒井の井戸のある「筒井」(つつい)、雑餉隈恵比須神社の鎮座する「雑餉隈」(ざっしょのくま)などの街区と各方角で隣接する、大野城市域内の街区である。
“四十数年を経て老朽破損し見るかげもない茅葺きの荒家となっていたが、大正12年(1923)5月25日上田真誡師が入山し、翌13年に改築を行い本堂四間×二間半、書院八丈、最上堂三間半×五間、境内坪数四百余坪の寺院として落慶した。 この落慶に伴い一時寺号は愛愍結社教会(あいみんけっしゃ-)と称したが、昭和17年(1942)3月30日春日原日蓮教会と改称した。同20年11月に松下前暢上人が教会主管として就任し、翌21年7月25日に春日山妙教寺の寺号承認を受け、28年(1953)1月2日に宗教法人の承認を受けている。本堂は50年を経過して老朽化したため、日蓮聖人生誕750年記念事業として、昭和49年(1974)7月18日鉄筋二階建の本堂及び庫裡(くり)を落慶し、更に55年には鉄骨三階建檀家信徒会館を、58年には本堂二階にに鉄骨で納骨堂を増築し、63年(1988)には庫裡駐車場併設鉄筋三階建を竣工して全面改築が完了し境内の整備を行っている。”... というのは、赤司岩雄というこの地に名のある史家による、その著書『大野城市巡杖記』に見られる、この寺についての記述である。“南無妙法蓮華経”(なむみょうほうれんげきょう)―日蓮宗の題目の刻まれた石塔の立つ山門を入ると、右手に何らかの立像石仏、そして昭和57年(1982年)5月の建立という高い石塔がそびえ立ち、先に鉄筋建の本堂、その手前に、
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