福岡県(ふくおか-)の内陸、県域のほど中央部に位置する、"弥生の里"とも呼ばれるごとくに、数多の弥生時代の遺跡を擁する市、春日(かすが)。その内の北部、県都福岡市(ふくおか-)との境界線を北方間近に据える区域。天理教(てんり-)の布教所の一である"分教会"、そのうちの『京畿分教会』は、太古の王国『奴国(なこく)』の中心があった場所といわれ王墓の周辺事物と目される遺跡なども出土した、岡本(おかもと)なる街区の一角にある。 読みは『けいき』であろうか、または『きょうき』か。"春日大通り"とも呼ばれる大きな車道、県道31号(福岡県道31号福岡筑紫野線)の路傍に位置し、背後に民家と遺跡の密集する住宅地を据える、一見では単なる民家たる風情のこの施設は、春日市に唯一の天理教分教会。 『京畿』という名称の由来はなにか。地名としては、異国たる大韓民国(だいかんみんこく)の北部の地域に『京畿道(けいきどう、きょんぎどう)』なる行政区のそれがあるが、少なくとも所在地たる春日にこのような地名はなく、所在点の地名は『岡本』である。消失した小字(こあざ)の名であろうか。いずれにしても、ただ玄関脇に掛かる古ぼけた木札のみ、自らが天理教の分教会たることを、街路に静かに示している。目前道路の向こうは陸上自衛隊の広大な基地、背後のゆるやかな丘陵に続く坂を上がった突き当たりは奴国の丘歴史公園。 所在は福岡県春日市岡本3丁目1番。ほど近く西方に熊野神社、南方に浄土真宗の寺院光照寺、および伯玄社遺跡などがある。 |