それは、神社というにはなにかが違う、が寺というにもどこかが違和する、しかし明らかにそのいずれかを思わせる、そんな外観の建造物として一箇、係る街路に溶け込む様相を脇道に見せてたたずんでいる。 福岡県(ふくおか-)の内陸の街春日(かすが)。その北西端にほど近い場所に、国指定史跡『岡本遺跡(おかもと-)』や、その一部を内に有する奴国の丘歴史公園などの、弥生(やよい)時代の遺跡の数多の出土で知られる岡本(おかもと)街区をほど近くに据え見る、須玖(すぐ)と呼ばれる街区がある。この地に名のある『筑前国続風土記(ちくぜんのくにしょくふどき)』などの古書にも『須玖村』としてその名を覗かせるこの街区は、現在にあっては車道を軸として大きく北と南に分かたれている。すなわち、須玖北、須玖南、である。そのうちの須玖南区域の中ほどにある四丁目... 古い町の雰囲気を醸す家々、真新しさを見せる分譲地、そうした新旧の宅地の混在が見られる須玖南区域四丁目区画は、南から北に流れる2本の小川の合流地点を間近に有し、ちょうどこれらに挟まれる場所に位置し、これら河川の流れによって、四方で接する一丁目、三丁目、五丁目、六丁目たる区域と分かたれて存在している。さて、小道の入り組むその内部の一角。あるいは"教会"と呼ばれるべきものか。宅地のさなかにその敷地を有するこの事物は、神明鳥居(しんめい-)と呼ばれる形式の鳥居を据えたその入口を路傍に西向きに開いており、路傍に置いた案内板に次のような説明を示している。
そして夕刻のひとときに巫女装束の女性がただひとりその内にたたずむのであった。 所在は福岡県春日市須玖南4丁目80番。近場に史跡『地禄天神』、浄土宗の寺院無量寺などがある。 |