九州北部、福岡県の太宰府市にある観世音寺(かんぜおんじ)は、奈良時代に創建された天台宗の古い寺院である。今に政庁通りと呼ばれる通りの一角の東脇にその寺域を有している。平安時代などに比せば随分と衰退したといえるが、九州随一の仏像彫刻の宝庫であるといわれ、国宝としてその名を馳せる日本最古の梵鐘をはじめとして、実に豊富な文化財を有している。太宰府天満宮や大宰府政庁跡などと並んで太宰府市を代表する旧跡である。寺域の裏手には戒壇院(かいだんいん)が残り、各地よりこの地を目指した僧達の姿を往時の残影として脳裏によぎらす。
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