福岡県(ふくおか-)の内陸に位置する春日市(かすが-)、その北東の外れ。 ほど近くに福岡市(ふくおか-)、および大野城市(おおのじょう-)との境界を据える、春日原(かすがばる)と呼ばれる町がある。 『春日村にあり。下は麥野村の内に入たる所あり。東西十二町、南北十二町許有て平原也。其平なる所秤の面のごとくにして廣遠也。其地黒土にて性あしき故に、五穀によろしからず。故田圃まれなり。雑餉の隈の北より此原を通りて、薬院へ行経路あり。近し。中道といふ。國中の廣野を稱するに、第一安野、第二怡土郡井原西の曾根原、第三は此春日原なるべし。』...というのは、江戸時代の儒学・本草学者貝原益軒(かいばらえきけん)の編纂によるこの地に名のある史書『筑前国続風土記(ちくぜんのくにしょくふどき)』の"巻之六目録 那珂郡 下"項に現れる春日原の描写である。 昔は斯様、この町は幾度もの開発を経て市街地として今に、2本の鉄道の線路に挟まれた場所にあって、大きく3の街区に分かたれて存在している。すなわち、春日原北町(かすがばるきた-)、春日原東町(かすがばるひがし-)、春日原南町(かすがばるみなみ-)。
そのような街の更なる外れ、隣接する大野城市との境界線のまさに脇にあるのがこの小さな宮、すなわち、妙見稲荷(みょうけんいなり)、白鬚稲荷(しらひげいなり)、あわせて妙見白鬚稲荷と呼べるであろうこの大明神社である。
つまるところ、境内を正面から見た場合、境内は春日市域、境内の左右両脇は大野城市域。周囲には、結構の古さを感じさせる家々、真新しさを感じさせる集合住宅群、いわゆるマンション群、そうした新旧数多の住居が混在。境内の裏手もまた民家の密集する区画となっている。
"妙見"とは仏教の菩薩『妙見菩薩(みょうけんぼさつ)』のことであろう。他方、白鬚(白髭)といえば、渡来のものと解されることの多い神の一であるという。いずれにしても、こうした宮の名称の手掛りとなりうる事物は、その由来や慣例や祭神を伝える事物は、境内のどこにも見られない。 所在は福岡県春日市春日原南町1丁目35番。最寄の鉄道駅はJR春日駅または西日本鉄道春日原駅。ほど近く東方に、SDA春日原キリスト教会、大野城市立瑞穂町集会所、同市立瑞穂公園。ほど近く西方に春日市立春日原小学校、龍神池、豊川稲荷九州別院最勝山東慶院、北方に日蓮宗の寺院妙教寺などがある。 |