地は福岡(ふくおか)。現福岡市博多区(はかた-)の北方の街区、今も通称にて『博多』と呼ばれる区域の東の外れに位置するところ。この地を太宰府市のほうから北に流れてやがて博多の湾に注ぐ、石堂(いしどう)川と呼ばれることもある御笠(みかさ)川の北東岸。南北に走る鹿児島本線の高架をまたいでその西と東に広がりあるのが、貝原益軒編纂の筑前国続風土記にもその名を堅粕村として登場するところの、堅粕(かたかす)とされる街区である。 福岡空港の西の至近に飛地のような形で大字堅粕を擁し、博多区の内にて1丁目から5丁目までがあるこの堅粕街区は、石堂地蔵尊などのある千代街区と隣接し、またその千代街区と同様に、高層建の公営住宅の非常に多い場所である。堅粕の名のつくそれだけでも、市営堅粕第1住宅、市営堅粕第2住宅、市営ニュー堅粕住宅が挙げられ、そのほかにも市営御笠住宅、公団住宅たる堅粕市街地住宅などが挙げられ、いずれも巨大な風体をして街の各所にそびえている。 さて琴姫大明神とされる社は、堅粕三丁目街区の南の一角、数ある市営住宅のうちの『ニュー堅粕住宅』のうちの一棟の南脇にたつ小さな社である。神社。狭い境内の奥に社、右手に『丸山神社』の額の架かる鳥居とその奥にまたひとつの小社。社の入口を飾る稲荷形式の鳥居に掛かる額には『琴姫大明神』、社の内部には『琴姫稲荷大明神』の文字が見られるものの、その由来や縁起を示す事物は社のどこにも置かれていない。
所在は福岡県福岡市博多区堅粕3丁目。ほど近く南方御笠川の対岸に堅粕小学校が、ほど近く南西、同市営住宅(市営ニュー堅粕住宅)の別棟の敷地内に浄福寺跡や延命地蔵尊などがある。 |