ウトグチ瓦窯跡

ウトグチ瓦窯跡展示館 地は福岡県の内陸の一角にわずかな市域を有し、"弥生の里"とも呼ばれるごとくに、数多の遺跡を擁する春日市(かすが-)。その南西、那珂川町(なかがわ-)との境界を間近に据える街区の内に、通称にて"白水(しろうず)"と呼ばれる区域がある。白水大池を間近に湛えるこの区域の内の今に白水ヶ丘(しろうずがおか)とされる区画に出土し、ちょうど小学校の敷地の脇に文化財として保存されるところの、太古の窯(かま)の残骸とされる遺跡、それがウトグチ瓦窯(かわらがま)跡である。

昭和62年(1987年)、この地を襲った開発の波にともなって、所在地を含む丘においてなされた発掘調査のうちに出土した遺跡で、窯業の結果出たものと見られる灰とともに、寺院や仏殿によく用いられる『鴟尾』(しび)と呼ばれる装飾品に加え無数の瓦が発見されたものという。

『ウトグチ』というこの名はウト口とも表記され、出土地あるいはそれを含む周辺区画の古い小字(こあざ)の名と見られるもので、正規の地名としては今に在らずも、この遺跡のほかにも『ウト口中池緑地』や『ウトグチ児童遊園』などの事物において現在にも見られるものである。

以後展示物として保存された出土品は、平成17年(2005年)度10月をもって県指定史跡に列せられ、市営『ウトグチ瓦窯跡展示館』として、また『春日市のぼり窯体験広場』として出土地において一般に公開されている。

ウトグチ瓦窯跡展示館の正面象
覆屋(おおいや)とその手前に置かれた案内板
〔案内板の記述〕

ウトグチ瓦窯跡

開発の波がまわりの丘に押し寄せてきた昭和62年(1987)、この丘で発掘調査が開始されてまもなく斜面の下で、たくさんの灰にまじって瓦のかけらがみつかりました。

丘の斜面に造られた二つののぼり窯と、窯と窯をつなぐ作業のための通路である溝などが発見され、1号窯跡には古代の建物に使われる鴟尾(しび)、鬼瓦(おにがわら)のほかたくさんの瓦が残っていました。

7世紀の後半の瓦窯としては、九州では最も古い窯のひとつに数えられ、近くに瓦を用いた寺院跡があると考えられています。

ここののぼり窯体験広場には、春日市民の協力があって、古代の技術の高さを物語る貴重な文化財として、1号窯跡が大切に保存、展示されています。

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上白水の遺跡

ここウトグチ瓦窯跡が残る上白水の周辺は、かっては木の枝状の小さな丘陵がいくつもあり、その西側の河岸段丘にかけて旧石器時代、縄文時代、弥生時代、古墳時代から歴史時代(古代、中世より後の時代)にいたるさまざまな遺跡がありました。とくに弥生時代から古墳時代にかけての集落(村)や墓地の遺跡が数多く発掘調査され、その時代の移り変わりがわかりはじめています。今は、残念にもほとんどの丘が削りとられ、のぼり窯体験広場のある丘が昔のようすをわずかにとどめています。そして、弥生時代以来の人々の生活を支えた那珂川の流れも、かつては広場の丘の上からながめることができました。
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所在は福岡県春日市白水ヶ丘1丁目4番。『春日市観光道路』の交差点"上白水池の下"のわずか南。ほど近くに市立天神山小学校、白水池コミュニティセンターなどがある。

古跡|福岡県春日市|紀行道中写真館

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