読みは『せいせんじ』かそれとも『さいせんじ』か。 福岡県(ふくおか-)の県都福岡市、その博多区(はかた-)の南寄りのところ。 紫雲山(しうんざん)と号する浄土宗(じょうど-)のこの寺は、諸岡川(もろおか-)の流れを東方に湛える諸岡(もろおか)という街区の一丁目にあり、こぢんまりとして、住宅街の一角に伽藍を置いている。
伽藍 春日市(かすが-)の西方は白水大池(しろうず-)から北に発する諸岡川。御笠川(みかさ-)に合流する準用河川たるこの川がまさにその御笠川に変わろうとするとき、その水面に諸岡橋という架橋が影を映す。
寺宝に『永正三年銘梵字板碑』を有する。これは文字通り永正三年―西暦1506年―の銘のある板碑(いたび)で、平成元年(1989年)から福岡市の有形文化財に指定されている。
開基の僧『行明』 開基は行明(ぎょうめい)、室町(むろまち)の代(西暦1338-1573年)を生きた僧で、博多(はかた)住吉村(すみよし-)の妙円寺を根拠として、三部経の四十八願に因んで四十八ヶ寺の建立を念じ、この筑前の地に次々と寺を開基、浄土宗の復興に力を尽くし、永禄(えいろく)の六年(西暦1563年)に没した。西専寺の位置する諸岡から東方の山麓の立花寺(りゅうげじ)というところにある摂取寺という浄土宗の寺や、西方の春日の須玖(すぐ)というところにある無量寺という同じく浄土宗の寺、これらもまた行明の開いた寺である。 古書に見られる西専寺
所在は福岡県福岡市博多区諸岡1丁目25番32号。筑紫通りの『諸岡二丁目』交差点からわずか北東。近場に那珂尋常高等小学校跡碑などがある。 |