雑餉隈町公民館

2006年11月9日
御笠森の西にあり。宰府へゆく大路に町あり。此町兩郡二村にかゝれり。東側は當郡山田村に属す。西側は那珂郡井相田(ゐさうだ)村に属せり。此所宰府参詣の人の足を休むる所にて、酒食を品々あきなふ肆(いちくら)ある故、雑餉隈と名付けるにや。又むかし太宰府官人の雑掌(ざっしょう)居たりし所なるか、いぶかし。町の北のはしに西へゆく道あり。是より春日原を通りて、城下薬院口に行、其道近し。

 というのは、江戸時代の儒学・本草学者貝原益軒(かいばらえきけん)の編纂によるこの地に名のある史書『筑前国続風土記(ちくぜんのくにしょくふどき)』の『巻之九目録 御笠郡(みかさ-) 下』項に"雑餉隈"として現れる、雑餉隈(ざっしょのくま)についての記述である。

 この描写に見られる"雑餉隈"は、山田村(現在の大野城市山田街区の一部)と井相田村(現在の福岡市博多区井相田街区の一部)にまたがる場所であることに着目すれば、現在の雑餉隈駅の東側、福岡市博多区春町(はる-)を中心とした一帯を指しているものと見られ、今に一般に『雑餉隈』と呼ばれる街、すなわち雑餉隈駅界隈の歓楽街と大方において一致する場所である。

 ところが雑餉隈という地名を公称として用いているのは、今には大野城市の一街区のみである。この街区すなわち雑餉隈町(ざっしょのくままち)とされる街区は、福岡県、その県都たる福岡(ふくおか)市域と大野城(おおのじょう)市域との境界地点、上記の古書に現れる"雑餉隈"の場所からわずかに南の場所にある。大野城市、雑餉隈町。

 一丁目から五丁目までの区域を有する雑餉隈町街区は、その大部分を宅地とし、東側で"筑紫通り"と呼ばれる大きな車道に接している。そのうちの三丁目区域の一角、この車道の脇にあたる場に座する神社が雑餉隈恵比須神社。そしてその境内の南脇に隣接するのが、この雑餉隈町公民館である。

 恵比須神社の境内を間近に見ることのできるその館施設は、同じく公的施設の一たるものであろう老人憩いの家と一体になっている。敷地の左脇(南)は、滑り台、ブランコ、鉄棒、砂場に小遊具、ベンチなどが置かれた小公園。常駐の職員も配置されているようで、その玄関には次のような案内が示されている。

  • 公民館利用(開閉)・執務時間
  • 公民館利用(開閉)
  • 開始 9時00分から
  • 終了 21時00分まで
  • 執務時間
  • 開始 9時00分から
  • 終了 16時00分まで
  • 公民館休館日
  • 休館日 毎週月曜日と祝祭日
  • 特別休館日
  • お盆休み 8月12日から8月16日まで
  • 年末年始
  • 12月28日から1月6日まで
  • 公民館長・区長
所在は福岡県大野城市雑餉隈町3丁目3番7号。ほど近く北方に地蔵を安置する地蔵堂山田観音地蔵堂、福岡県指定有形文化財たる仏像を安置する雑餉隈町観音堂、および古井戸の遺構たる史跡筒井の井戸、西方ほど近くに那珂南小学校、南西ほど近くに春日原北第2児童遊園、および豊川稲荷(とよかわいなり)の別院たる神宮寺最勝山東慶院などがある。


暫定|福岡県大野城市|紀行道中写真館

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